初めての鋳込み 磁器土泥漿の作り方

鋳込み多面花瓶 下絵付け 陶芸

2023.01.02

石膏型の作り方を説明して来ました。

この記事は、その石膏型で鋳込みに必要な泥漿の作り方を説明します。泥漿と言うのは説明するまでもありませんが、磁器土や粘土を水で溶かしてどろどろにした真野で、どべと思って下さい。英語ではスリップ(Slip)と表現されます。

鋳込みはスリップキャスティング(Slip Casting)と言います。

泥漿の種類

泥漿は大きく二つです。それは土の違いです。

  • 磁器土泥漿 磁器土の方がきめ細かく白く焼き上がることから、磁器土の泥漿を使う事が多いです。この記事では、磁器土をベースにした説明をします。
  • 陶土の泥漿 白粘土を基調としたもので、鋳込みでは通常は磁器の泥漿を使います。但し、植木鉢の様に土ものの方が良かったり、赤土の色を活かしたい時などに使われます。

必要な道具と材料

泥漿は作りだめします。一度作ってやれば、蓋つきのバケツなどに保存しておけば、長期保存が出来ますので、作りだめをします。余りにも少量であれば逆に作りにくいので、10~5kg程度がお勧めです。

準備道具と材料

  • 蓋つきバケツ 金属製バケツは不可です。さびが発生して泥漿の中に入る可能性があるためです。プラスチック製のインダストリアル(業務用)タイプで、蓋のねじ込み式が気密性が高い為長期保存に安心。 又、攪拌機での耐衝撃性の高い物がお勧めです。プラスチックは劣化が激しいため低価格のものは要注意です。必要量にも関係しますが20リットルなどが使い易い。
  • 撹拌機 出来れば、業務用の撹拌機があれば良いですが、無ければ攪拌の為の棒などを準備します。窯元では、大型の電気ドリルのようなものに、プロペラが四つついた業務用の撹拌機を使います。なければ、釉薬の攪拌機でも大丈夫です。
  • 磁器土 5~10kg 必要な量に応じて調整してください。
  • ケイ酸(ソーダ―)水ガラス 購入されるのであれば、必要な量は少量ですので小さなな物がお勧めです。

ケイ酸ソーダ(水ガラス)の使い方と必要量の計算

陶磁器土(乾燥重量) 100%
 硅酸ソーダ     0.3%以内
 水         35.0%前後
 (注)陶磁器土の種類によって水分量に多少の差があります。配合比率をまちがえますと、作業性は、著しく悪くなります。

陶磁器の乾燥重量とは、土が水分を含まない状態です。例えば、磁器土10kgの場合、25%の水を含んですると、7.5kgが乾燥重量

珪酸ソーダの必要量は: 7500 x 0.003= 22.5g

通常は水ガラスは、5~6倍に水で進めて使いますのでその場合は22.5g x(5~6=112.5~135g

水ガラスの量は多くても少なすぎてもいけません。0.3~0.5%を基準にします。

器土の含水量は違って来ますから、正確を期すおであれば、100g程度の粘土を取り、ストーブの上に載せて完全に乾燥します。そして重さを計測。例 それが80gになったら20%となります。

一応、乾燥重量の0.3%として下さい。薄めた水ガラスはキッチンばかりなどで正確に計測します。

泥漿の作り方の手順

タイムラインのタイトル
  • ラベル
    バケツに水を張る
  • ラベル
    磁器土をゴルフボールサイズに投入

    千切った土は丸めません。攪拌もしません。

  • ラベル
    水の量

    ゴルフボールが冠水する位。水の量は適当に調整してください。

  • ラベル
    一晩置く

    磁器土はふにゃふにゃになるはずです。攪拌機が無いなどの場合は数日おいても置けば、もっと柔らかになります。

  • ラベル
    綺麗な上水を流しとる

    水は多いよりも少し少なめがいいでしょう。少なければ、後から水を足して調整します。

  • ラベル
    攪拌機で攪拌

    少し柔らかなマヨネーズ程度が良いです。水ガラスを加えると更に柔らかになりますので、どろどろでも少しだけ硬めに。

  • ラベル
    水ガラスを投入

    予め計算した量を投入します。水ガラスを加え攪拌すると、なめらかな硬さになります。

  • ラベル
    攪拌機でさらに均一に攪拌
  • ラベル
    完了

    60番位の篩を通してだまを取ります。使う時は又攪拌してスリップの硬さを均一にします。

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コメント

  1. 田中豊治 より:

    拝見いたしました、鋳込みをやってみたいといろいろ調べていまかしたらこちらにたどり着きました、今回はタンブラー作成でやっておられますが高台がありますねその分内側の底はどのようになります、やはり外側につられてへこみますか?

    そこが角ばると食器が洗いにくいので、なめらかにしたいのですが、どうすれば1番よろしいでしょうか。

    型が1つの場合何日ぐらいおいて、次の鋳込みをすればいいでしょうか?

    • Norman Tomita より:

      以下回答します。
      質問: 高台部の仕上がりと対応方法は? 
       はい、内側に凹みが出来ます。なめらかにする方法は、鋳込みが終わって、廃泥が終わったら、すぐにひっくリ返します。 タンブラーであれば、通常は下向きにして柔らかな泥漿を全て出してしまいます。このタンブラーであれば、10分程鋳込んで、廃泥をして、その後10分ほど廃泥をしますが、へこみをなくしたい場合は、廃泥をしたら、すぐに型を上向きにします。そうすると、泥漿が底に戻って、へこみを埋めてくれます。
       廃泥後、どれくらいで元に戻すかとの疑問があると思いますが、石膏型を廃泥しながら回して均一に廃泥します。その後、数秒後です。ただし、泥漿の硬さや形などで変わりますから、どれくらいがベストか試してみるしかありません。 この方法は、窯元でもやりますので間違いありません。
       後は、圧力鋳込みの型を作るのがベストですが、私の作品のように背が高いものは圧力鋳込みの型を作るのは難しいです。であれば、上記の方法ではなく高台なしにするしかありません。そして高台は乾燥させて削り出します。削り出す場合は、鋳込みの時間を長くして、厚くします。 磁器土の鋳込みでも削りますよ。私の別動画を見てください。

       もう一つの方法は、”碁笥底”にlする方法もありますね。碁笥底は後家ではありません。囲碁の石を入れる木製の入れ物で陶芸の碁笥底は知っておられると思いますので、ここでは省略します。

      質問2.何個鋳込めるのか? 何日乾燥させるのか?
       私の鋳型で、一日10個くらいは鋳込めます。 石膏の型の厚みや石膏の品質でも変わります。一般的に石膏の厚みは全方向30ミリ必要です。薄いと石膏が水分で飽和して鋳込みが難しくなります。これも経験値ですが、鋳込みがおそくなったり、問題が出たら型を乾燥させる必要があります。 私たちは、焼成室のの窯の近くに石膏型を数日置いて、乾燥させます。石膏を触ってみてある程度乾燥したら、鋳込みます。
       窯の近くに置くとき、石膏を高温にさらすのは良くないようです。 記憶が定かではありませんんが、60~70度以上にならない事が必要だったと思います。

       石膏型の材料、環境条件で答えは変わりますので、Try & Errorでやって見てください。参考になれば幸甚です。